【スマホやPCによるVDT症候群に注意】原因,症状,対処法を解説
VDT症候群って聞いたことありますか?
あまり耳慣れない言葉かと思いますが、VDT症候群とはパソコンやスマートフォンの手放せない現代社会において、誰もが経験するほど身近に潜んだ病です。
VDT症候群とは
VDTというのは、“Visual Display Terminal(ヴィジュアル・ディスプレイ・ターミナル)”の頭文字をとって略したもので、パソコンやスマートフォン等の映像表示機器のことです。これらVDTを使った作業をVDT作業といい、それに起因して表れる症状や疾患のことをVDT症候群といいます。別名として、「IT眼症」や「テクノストレス眼症」という呼び名もあります。
このVDT症候群による影響は、目のみに留まらず全身に及び、時には心にまで影響を及ぼす事があるほど…決して軽視は出来ない病です。
実は、このVDT症候群には厚生労働省も早くから注目しており、2002年には既に「新しい“VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン”の策定について
」という指針を発表しています。
それほどまでに、このVDT症候群は現代の日本社会において真剣に向き合うべき問題なんです!
VDT症候群の症状
VDT症候群の症状には様々な物があります。目への影響は勿論のことですが、身体や心にも関連して出てくる症状があります。
■目の症状
・目が重い
・目がかすむ、ぼやける
・目が乾く
・目が痛い
・目の充血
■身体の症状
・背中や腕がダルい・痛い
・頭痛
・手足がしびれる
■精神への影響
・不安感
・うつ
このような症状が、代表的なVDT症候群の症状です。目だけでなく、身体や精神的な感覚に至るまで様々な症状があるというのが特徴です。
では、なぜこのような症状が出てくるのでしょうか?次の項目ではその原因について解説していきたいと思います。
VDT症候群の原因とは
VDT症候群になる原因を辿って行くと、その原因は、主に作業時の姿勢からくる負担と、モニターの光によるの目への影響が考えられます。
VDT症候群の原因その1【作業時の姿勢】
パソコンやスマホなどのVDT機器を使った作業をしている時は、つい集中して同じ姿勢を保持したままになっていることがよくあります。
集中してパソコンデスクに向かっている姿勢を考えてみてください。腕を前に伸ばした状態で、首も肩も腰も動かさずにいるって、本来の人間らしい生活からするととても不自然ですよね。体や視線が固定された状態で、ひたすら手だけ動かし続けているわけです。
おそらく、作業中は集中しているせいで、その時はあまり疲れを感じないかもしれませんが、作業が一段落して気が緩むと、首や肩にドッと疲れが押し寄せてきますよね。
この疲れは、無理のある姿勢を長時間保持することで大きな負担がかかっているという証拠ですね。
VDT症候群の原因その2【モニターの光】
最近のVDT機器のモニターのバックライトにはLEDが使われている物が増えてきました。このLEDを使用したVDT機器から発する光には、目に有害なブルーライトという光が大量に含まれています。
ブルーライトは、自然界に存在する可視光線の中にも含まれている青色の光のことなのですが、ブルーライトは可視光線(人間の目に見える光)の中で380nm~500nm(ナノメートル)という最も波長が短くて、とても強いエネルギーを持っています。
そのため、目の表面(角膜や水晶体など)で吸収され弱まること無く網膜まで達してしまい、目に大きな負担がかかることが問題になっているんですね。
このブルーライトの問題は、このような目への直接的な負担だけにとどまりません。自律神経のバランスを乱してしまい、体内時計を狂わせてしまうので不眠症等に陥りやすく、それが身体や精神へまで影響を及ぼすことがあります。
※ブルーライトについて詳しくはこちらの記事で解説しています→【ブルーライトの影響と対処法】スマホやパソコンの長時間使用に注意
VDT症候群を防ぐには?
さて、このVDT症候群を防ぐためには、一体どのような対策をしていけばよいのでしょうか?
その対処法をまとめてみましょう!
1.作業時の姿勢に気をつける
スマホやパソコン、TVゲームなどを使用する時は、ついつい集中して無意識のうちに不自然な姿勢になりがちです。
たぶん多くの人が癖になっていると思われますので、しっかりと意識して、無理のかからないような姿勢をとりましょう。
あまり力み過ぎない程度に背筋を伸ばし、肩や首、腕にも負担がかからないようにしましょう。また、モニターは少し見下ろす位の角度の位置に置き、十分な距離(最低でも50cm位)を取るようにすることも大切です。
そして、時々は意識的に姿勢を変え、身体の一部分に負担が集中しないようにすることがポイントです。
2.モニターの輝度と部屋の明るさの調節
明るすぎるモニターは、ブルーライトによって目に大きなダメージを与えてしまいます。
しかし、逆に暗すぎてもよく見えないですよね。そうなると、目は見るために必死になるので目の筋肉である毛様体筋(もうようたいきん)に大きな負担がかかっています。また、凝視しているような時は、首や肩にも緊張して負担がかかっているものです。
モニターの明るさ(輝度)には、部屋の明るさとの良好なバランスが存在します。まずは、部屋を明るくし、それに合わせて眩しくないようにモニターの輝度を調整するようにしましょう。
寝る前の暗い部屋で、ベッドの中でスマホゲームとか、ダメですよ。
また、光を反射しないノングレアタイプのモニターの方が目の負担は少ないと言われていますので、パソコン購入の際は意識して選択するようにすると良いでしょう。
3.ブルーライトをカットする
目や身体へ大きな負担をかけてしまうブルーライトは、できるだけ取り込まないように工夫することが大切です。ブルーライトは、液晶のバックライトであるLEDから多く発せられますので、先程お話したようにモニターの明るさを落とすことも有効ですが、ブルーライトカットメガネを掛けたり、ブルーライトカットフィルムをモニターに貼るなどの方法がおすすめです。
また、ブルーライトを軽減するモニター設定のアプリなどもありますので、お手持ちのスマホやパソコンなどにインストールして使うのも手ですね。
4.部屋の湿度管理でドライアイ防止
集中して作業をしていると、無意識のうちに瞬きが減っていたりします。その上部屋が乾燥していると、なおさら目は乾きやすくなって、ドライアイへとつながります。
特に冬場のオフィスなんかは、エアコンが効いて空気は乾燥しがちですよね。ドライアイの予防や、目の負担軽減のためにも、加湿器を使って湿度を保つようにしましょう。最近では、デスクの上におけるコンパクトな物もお手頃なお値段で出ています。これだけでもずいぶん違いますよ。
5.連続作業時間の上限を決めてこまめな休憩を
結局これが何よりも大切です。どんなに心がけているつもりでも、集中していると無意識のうちに作業効率を優先してしまい、負担のかかる姿勢に戻ってしまっています。
人間だれしも、長年の癖をすぐに直せっていうのもなかなか難しい話…
厚生労働省が発表している、“VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン”によると、目にかかる負担の軽減には、長くとも1時間VDT作業をしたら10~15分は休むことが必要です。
あんまり休んでばかりいると作業が進まないような気がしてしまうかもしれませんが、こまめな休憩は集中力と身体のパフォーマンスを上げるためには必要で、かえって驚くほど効率的に作業が進む事になると思いますよ。
焦っても、ミスばかり増えてしまったり…いいことは何一つありません。
こまめに手を休め、休憩時は視点を遠くに移して毛様体筋をリラックスさせ、伸びをしたりして体全体の血流が滞らないようすることが大切です。
まとめ
VDT症候群の症状や原因、対策について解説してまいりました。当サイトの眼精疲労についての記事をご覧になった方は、「あれ?なんか読んだことがある?」と思われるかもしれませんが、そうなんです…眼精疲労と症状や対策はほとんど同じなんです。
というのも、VDTを使った作業により発する症状が慢性化すると、眼精疲労になっていきます。また、作業に集中して瞬きの回数が少なくなると、ドライアイにもなっていきます。全て関連していることなんですね。
特に、近年の眼精疲労の原因として一番多いのが、この連続したVDT作業によるものです。
今や、仕事にも遊びにも、コミュニケーションにも、スマホやパソコンなどのVDT機器は不可欠です。なので、問題は「どのようにして上手く付き合っていくか」が大切になります。
パソコンを使った仕事にいくら集中している時も、こまめに休憩を入れる事で、眼精疲労やVDT症候群を予防するためだけではなく、作業の効率も上がりますよ。
VDT作業時は姿勢を意識し、部屋の明るさと湿度を調節して、ブルーライトから目を保護するために、ブルーライトカットのグッズなども上手く活用して行くようにしましょうね。