疲れ目お悩み研究室

眼精疲労・ドライアイ・老眼など、目に関する悩みを解決していきます

【10代や20代でも老眼に】スマホ依存症による若年性老眼に注意!



「近頃なんだか近くが見えにくい…スマホを遠ざけると文字がよく見えるんだけど…」

あれ…これってもしかして老眼!?まだワタシ30代なのに…

それは、もしかしたらスマートフォンやパソコンの使いすぎによる若年性老眼(スマホ老眼)もしれませんよ?

若年性老眼(スマホ老眼)とは?

若年性老眼(スマホ老眼)とは

若年性老眼(スマホ老眼)とは目の酷使による眼筋の疲労により、まだ老眼になりえない年齢20代や30代でも近くが見えくくなるなど、老眼によく似た症状が出ることです。

症状が老眼と似ているというだけで若年性老眼などと言われますが、老眼とは起こるメカニズムが違い、老眼ではありません。10代でもなるリスクがある若年性老眼ですが「まだ自分は若いのに…」と悲観しなくても大丈夫!老眼と違って若年性老眼の症状は治ります。

ちなみにこの若年性老眼という名前ですが、スマホの過剰使用によって同じような状態になることが多いことから「スマホ老眼」とも言われます。

若年性老眼(スマホ老眼)の症状

若年性老眼(スマホ老眼)の症状には次のようなものがあります。

・遠くの物はよく見えるが、手前にある物にピントが合いにくい

・目のピント調節に時間がかかる

・夕方になると目がショボショボして見えにくくなる

・瞼がピクピクと痙攣を起こすことがある

などが代表的な若年性老眼の症状ですが、「目がしょぼしょぼ」したり「まぶたが痙攣する」というのは老眼ではあまり聞かない症状ですよね…

これには、老眼と若年性老眼の起こる仕組みの違いが関係してくるからなんです。

若年性老眼(スマホ老眼)のおこる仕組みとは?

遠視や老眼との違い

近くが見えにくくなる症状と言うと、「老眼」や「遠視」がありますが、それぞれ仕組みが違います。

下の図をごらん下さい。

角膜から取り入れられた光は、水晶体によって屈折して集約され、網膜に焦点をあわせて映し出されます。網膜に映し出された光の情報は、信号として視神経を通り、に伝わり映像として認識されています。これが、目で物を見る時の仕組みです。

水晶体はカメラでいうレンズと同じような役割を担っています。

水晶体は弾力があり、厚くなったり薄くなったりしながら屈折率を変化させてピントを調節しているのですが、自力では調節はできず、毛様体筋という目の筋肉の力を借りて厚みを変化させています。

●毛様体筋が突っ張る → 水晶体は厚くなり、近くのものにピントが合う

●毛様体筋が弛む   → 水晶体は薄くなり、遠くのものにピントが合う

このような仕組みで網膜に投影される光の焦点を調節しているのですが、「遠くの物はよく見えるが、手前にある物がぼやける」というような代表的な症状が起こるのは、これらの器官のどれかに不具合があるからなんですね。

その不具合のある箇所によって、それぞれ病名と対処法が変わってきます。

老眼

一般的な老眼の仕組みは、加齢によって水晶体の弾力が失われ、厚みが変化しにくくなるので、毛様体筋が弛んでも水晶体が薄くならず、近くの物にピントが合いにくくなる状態になります。

若年性老眼(スマホ老眼)

しかし、若年性老眼と言われるものは、水晶体の厚みを変化させるための毛様体筋に疲労がたまる事で調節機能が衰えてしまうのが原因です。

結果的に、『近くが見えにくくなる』というような症状が似ているために『若年性老眼』と言われますが、起こる仕組みが違うために老眼と若年性老眼は全く別のものです。

ちなみに、若年性老眼と同じく毛様体筋に疲労が蓄積するのが眼精疲労ですが、眼精疲労の症状は慢性的に痛みを伴い、時には肩こり頭痛にまで発展していきます。若年性老眼とは症状に若干違いはあるものの、密接な関係にあります。

遠視

遠視も近くが見えにくくなるものですが、こちらは水晶体の屈折の異常や、眼軸(角膜から網膜までの距離)が短いために、焦点が網膜より奥に合ってしまい、ぼやけてしまうというのが原因です。

若年性老眼(スマホ老眼)の原因

別名『スマホ老眼』とも言うとおり、若年性老眼を引き起こす最大の原因はVDT機器の使用にあります。

VDT機器とはスマートフォンやパソコンなどの映像表示機器のことです。ちなみに、このVDT機器を使った作業のことをVDT作業といいますが、何と言っても一番目に負担がかかるのがスマートフォンです。

総務省発表の「平成28年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」という資料によると、平成28年の年代別スマートフォンの使用率は20代で96.8%、30代では92.1%と、実に9割以上に普及しています。

スマホは画面が小さく、使用には想像以上に目に負担がかかっています。移動中でも休憩時間中でも、あげく入浴中や就寝直前のベッドの中までも…とにかく、気がつくとついついスマホを触っているという、スマホ依存症に心当たりのある方も多いのではないでしょうか?

このスマートフォンの過剰使用は、毛様体筋にとっては休まる暇を与えてもらえない生き地獄のようなものです。

ちなみに、このスマートフォンの使用率は10代でも74.3%と増加しており、若年性老眼も、より一層の低年齢化が懸念されています。嫌ですよね、10代から老眼を味わうのなんて…

若年性老眼(スマホ老眼)の対処法


若年性老眼になってしまったら、どうすればよいのでしょうか?

眼科での若年性老眼の治療法というのも、対処療法として目薬が処方されるくらいです。しかし、それでは、一時的なピント調節機能の改善はできても、まるで焼け石に水…生活習慣を改めない限り、若年性老眼は進行していきます。

でも、原因を知っていれば大丈夫!若年性老眼は毛様体筋の疲労が原因ですので、毛様体筋を養い、しっかり疲れを取ってあげればよいのです!

では、毛様体筋の疲労回復はどのようにすればよいのでしょうか?その方法には、次のようなものがあります。

1.血行を良くし、組織の疲労回復に必要な栄養や酸素の供給効率を向上させる

血行を良くするには、温める事と毛様体筋の運動をしてあげることです。

目を温めるには、蒸しタオルやホットアイマスクがポピュラーな方法ですね。※温める方法について、詳しくはこちらの記事をご参照ください→【疲れた目は温めるor冷やす?】結局のところどっちがいいの?

目のストレッチには、色々と方法がありますが、ここではピント調節機能を司る毛様体筋ほほぐす運動として『遠近ウォッチング』をおすすめします。

遠近ウォッチングとは、目から30cmの距離と3m位先の物に目標物を定めて5~10秒ごとに交互に見るというストレッチ方法です。

近くにあるスマホを見るために毛様体筋はフリーズしてしまっているので、意識的に動かすことで凝り固まった筋肉をほぐし、血行を促進させます。

2.組織の修復のために目を休ませる

なんと言っても、とにかく休ませることにはかないません…一番の休息はやはり「寝ること」で、眠っている間に活性酸素などにより破壊された目の組織の修復が行われますから、睡眠はとても大切です。

睡眠時間はもちろんですが、起きている時も意識的に目の休息時間をつくるようにしましょう。

特に、疲労の最大の原因となるVDT機器の連続使用は避け、1時間につき15分くらいは目を閉じてしっかり休ませる時間を設けること。また、目が酸素不足に陥らないよう意識的に瞬きをする回数を多くして、目にしっかりと新鮮な酸素や栄養分の乗った涙を供給させるようにすることも大切です。

3.疲労回復や、機能維持に必要な栄養素の摂取

特に、VDT機器の使用においてはブルーライトによるダメージも問題です。ブルーライトは波長が短く角膜や網膜でパワーを吸収されること無く網膜に到達してしまい、疲労の素となる沢山の活性酸素を生み出してしまいます。

この活性酸素を除去するには、抗酸化作用のある栄養素を取り入れることが重要です。

抗酸化作用の高い栄養素としては、水晶体にはビタミンC、Eの摂取が効果的で、網膜にはルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンなどのカロテノイド系色素の摂取がよいとされています。

中でも、ルテインには非常に高い抗酸化作用があり、活性酸素による網膜黄斑部へのダメージを修復し、目の老化防止と加齢黄斑変性症の予防にも役立ちます。

機能維持に必要な栄養素は食事だけで賄うのは非常に難しく、足りない分はサプリメントなどで補うようにした方が効率がいいと思います。

※ルテインについては、こちらの記事で詳しく解説しています→【眼精疲労やスマホ老眼など目の病気予防に】ルテインの効果に注目!

※目の機能維持に必要な栄養素については、こちらの記事で詳しく解説しています→→目の機能維持に必要な栄養素とは?

まとめ

若年性老眼は、老眼と似たような症状ですが、加齢によるものとは違い回復の余地があります。

しかし、高をくくっていると症状は早いスピードで進行し、水晶体も弾力が失われ、本当の老眼への移行を早めてしまうことになります。

すぐにでも生活習慣を改め、根本から改善するようにしましょう。

考えてもみてください。人生の大半を老眼で過ごすなんて…イヤですよね、、