【眼精疲労は食事で治す】目の疲れ回復に効果的な栄養素と食べ物とは
『あなたの目、栄養失調になっていませんか?』
眼精疲労には様々な治療法といわれるものがありますが、やはり、日常の生活習慣を見直して、根本的な改善をしていくことが大切ですよね。
“医食同源”という言葉があります。これは、日頃から栄養バランスの優れた食べものを摂る事を心がけることで、病気を防いだり治したりしようという考え方です。
元々は、古来中国よりの“薬食同源”という考えから発展し、日本で作られた造語だそうですが、いまや、この言葉が中国に逆輸入されているというほど、その考えは世界的に広まってきているそうです。
ここでは、『眼精疲労を治す事だけでなく、繰り返さない事や、そもそも眼精疲労になりにくい体をつくるには、いったいどんな栄養素が必要で、どういった食生活を心がければ良いのか…?』をテーマに、目の疲れ回復に必要な栄養素と、それらが含まれる主な食材などについて解説していきたいと思います。
ビタミン類
ビタミンA
ビタミンAは目の粘膜や上皮細胞を維持し、新陳代謝を促します
中でも、ビタミンAであるレチナールは、網膜上で目の明暗感知をつかさどっている桿体細胞(かんたいさいぼう)の中にあり、光の刺激による化学変化で明るさの変化を感じ取っています。
そのため、ビタミンAが不足すると、暗いところで視界が慣れるために時間がかかってしまったり、常に視界が薄暗く見える等の弊害を及ぼす恐れがあります。
ビタミンAの摂り過ぎはよくない?
しかし、ビタミンAは摂り過ぎも良くありません…
厚生労働省が発表した“日本人の食事摂取基準”によると、ビタミンAの成人の一日の推奨摂取量は男性で800~850(㎍RAE/日)女性では650~700(㎍RAE/日)です。
ビタミンAは食品の中ではレチニルエステルとして存在していて、体内に取り込まれるとレチノールへと変換され、その後レチノイン酸やレチナールへと変換されていきます。
レチノールは脂溶性ビタミンなので、摂り過ぎると過剰症を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
過剰症の症状には、腹痛・手足の痛み・倦怠感・関節や全身の痛み・吐き気・抜け毛・めまい・睡眠障害などがあり、ひどい場合は肝脾腫や脳圧亢進による頭痛などを引き起こし、妊婦においては胎児への奇形等の影響を与えるリスクが高くなります。
ちなみに、耐用上限量は男女ともに2700(㎍RAE/日)となっています
ビタミンAが多く含まれる食品
肝臓類(レバー、フォラグラ、あん肝など)、やつめうなぎ、鰻、銀だら、ホタルイカ、穴子、魚卵(からすみ、いくらなど)、卵黄、乳製品(チーズ、クリーム、バターなど)
ビタミンAの摂取効率を高めるには?
ビタミンAは脂溶性(※つまり、油に溶ける)です。なので、油を使って調理することによって、摂取効率を高める事ができます。
調理法としては、炒め物や揚げ物が思い浮かびますね。サラダなど生で食べる時は、マヨネーズやドレッシングなどをかけるようにするといいでしょう。
β-カロテン
ビタミンAとβ-カロテンの関係とは?
β-カロテン(ベータカロテン、βカロチン)は、体内に取り込まれるとビタミンAであるレチノールへと変化します。通常、動物性の食品から摂取できるビタミンAは、前述のとおり摂り過ぎると過剰症になる恐れがありますが、β-カロテンは体内において必要とされる量だけがビタミンAへと変わるため、過剰に摂取することがありません。
そして、β-カロテンなどのカロテノイドには抗酸化作用(※注)や発がん抑制作用などもあるため、眼精疲労対策のみならず、日頃から意識して摂取していきたい栄養素です。
※抗酸化作用とは?
体を酸化させ錆びさせる“活性酸素”を抑制する働きのことです。活性酸素は、通常から体内に存在していて、外部から侵入した病原菌などを排除するために働いているのですが、過剰に増えすぎると、体内を攻撃し出すという厄介な性質を持っています。
活性酸素は、排気ガス、紫外線、過度な運動など様々な身体的・精神的ストレスを受けると発生するので、この過剰に発生した活性酸素を抑える働きを持った“抗酸化物質”を積極的に摂ることが大切です。
β-カロテンが多く含まれる食品
ニンジン、かぼちゃ(特に西洋かぼちゃが◎)、ほうれん草、モロヘイヤ、大根の葉、パセリ、海苔、抹茶など
緑黄色野菜には豊富にβ-カロテンが含まれています。特に、ニンジンとカボチャは特筆モノです!海藻類では海苔や岩のりが代表的で、意外なところでは抹茶にもβカロテンは含まれています。
ビタミンB群
ビタミンB群には抗酸化作用があり、体のエネルギー作りや代謝を行い、機能維持をするための補酵素として必要な栄養素です。
ビタミンBは目において、疲労回復や充血を鎮めたり、視力を維持するために欠かすことのできない栄養素になっています。
また最近では、ストレスがかかったり頭を使った作業を要求されると、ビタミンBは消費され欠乏状態に陥るため、精神の状態を穏やかに保つためにも必要とされているという事がわかってきました。
“ビタミンB群”とひとまとめにしましたが、これは、B1、B2、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、B6、ビオチン(B7)、葉酸(B9)、B12の8種類に分類されます。
中でも、目にとって重要なのは特にB2の効能ですが、実は、ビタミンB群はそのままの成分の状態では機能しないんですね…
ビタミンBは、体の中で活性型に変換され初めて働ける状態になるのですが、そのためにはビタミンB同士が互いに関係しあっているため、バランス良く同時に摂ることが必要になってきます。
しかし、ビタミンBは水溶性ビタミンのため、長時間水にさらしたり加熱することで失われてしまい十分に摂取することが難しいという問題があります。自分ではきちんと摂っているつもりでも、潜在的に不足してしまっていることが少なくありません。
水溶性ビタミンは、大量に摂取しても必要分以外は体外に排出されますので、ビタミンAのなどの脂溶性ビタミンのように、過剰摂取による過剰症の心配がありません。食材からのみの摂取にこだわらず、サプリメントを上手く活用するのも手だと思います。
ビタミンBが多く含まれる食品
ビタミンBは、肉類、魚介類、レバー、酵母、精製していない穀物、野菜等に多く含まれています。
■ビタミンB1
豚肉、たらこ、うなぎ、大豆、海苔など
■ビタミンB2
レバー、いかなご、うなぎ、サバ、納豆、キャビアなど
■ナイアシン(ビタミンB3)
たらこ、マグロ、カツオ、イワシ、レバー、まいたけ、ピーナッツなど
■パントテン酸(ビタミンB5)
レバー、卵、たらこ、干ししいたけ、とうがらし、納豆、抹茶など
■ビタミンB6
にんにく、まぐろ、酒粕、イワシ、牛レバー、とうがらし、ピスタチオなど
■ビオチン(ビタミンB7)
レバー、ピーナッツ、イワシ、卵黄、青のり、まいたけ、大豆など
■葉酸(ビタミンB9)
レバー、からし菜、枝豆、海苔、煎茶、小麦胚芽、うになど
■ビタミンB12
貝類、すじこ、たらこ、レバー、イワシ、海苔など
ビタミンC
風邪をひいてしまった時なんかに、真っ先に思い浮かぶのがビタミンCではないでしょうか?
ビタミンC(L-アスコルビン酸)は抗酸化作用があり、免疫力の向上や、ストレスに対抗するための神経伝達物質やステロイドホルモン生成、美白効果、コラーゲンの合成など、様々な役割を持っています。
ビタミンCは、目のレンズ部である水晶体に分布していて、その透明度を保つために働いてくれている大切な栄養素です。
成人の一日の摂取量目安は約100mgですが、健康維持には800mg以上、美白効果を期待するには1000mg以上必要になるようです。
過剰に摂取しても必要量以外は吸収されず、余ったビタミンCは腸の善玉菌の繁殖等にまわされます。
ビタミンCが多く含まれる食材
パプリカ、パセリ、ブロッコリー、レモン、ゆず、アセロラ、海苔、抹茶、豚肉など
ビタミンCというと、真っ先にレモンを思い浮かべる方も多いことでしょう。ビタミンCは野菜や果物に多く含まれています。
ビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用を持っており、活性酸素の除去など美白とアンチエイジングに大きな役割を持ち、身体が若返るための力を持った栄養素です。血液循環を促進する効果があるため、目に必要な栄養分や酸素を運ぶ効率を高めます。
ビタミンEは、大きく分けるとトコフェロールとトコトリエノールの2種類があり、さらにそれぞれにガンマ、ベータ、デルタ、アルファがあるため計8種類あります。
脂溶性のビタミンですので、油と一緒に摂取する事で吸収率が高まります。ビタミンAと同じく過剰摂取には注意が必要です。成人の一日の推奨摂取量は約15mg程です。
ビタミンEが多く含まれる食材
あんきも、すじこ、たらこ、明日葉、うなぎ、かぼちゃ、アーモンド、抹茶など
ビタミンEの持つ強い抗酸化作用を高めるためには、同じく抗酸化作用を持ったビタミンAやビタミンCと同時に摂取しましょう。
そうすることで、より強い抗酸化作用を発揮できるようになります。
アスタキサンチン
アスタキサンチンは、“カロテノイド”と呼ばれる天然の色素の一つです。
カロテノイドは赤やオレンジ、黄色の色素で、動物や植物、微生物の中から現在では約750種類のカロテノイドが知られています。
特に馴染みが深いものとしては、ニンジンなどに含まれるオレンジ色の色素“βカロテン”や、トマトに含まれる赤い色素“リコピン”などもカロテノイドの仲間です。
アスタキサンチンは、サーモンやキンメダイ等の赤い魚や、エビ・カニなどの甲殻類に多く含まれており、目のピント調節機能改善に役立っています。
そして、何と言ってもアスタキサンチンには非常に強い抗酸化作用があることも特徴です。
ビタミンEの約1000倍の抗酸化作用を持っている上、目に行く栄養の関所である血液網膜関門を通過できるため、網膜でも抗酸化作用を発揮することが出来ます。
目は紫外線に晒されているため、これにより目の中でも沢山の活性酸素が発生していると考えられています。
アスタキサンチンは増えすぎた目の活性酸素を除去し、眼精疲労の原因となる物質を取り除いてくれるばかりでなく、黄斑変性症などの目の病気の予防にも役立ちます。
アスタキサンチンが多く含まれる食材
サケ、いくら、たらこ、桜えび、キンメダイ、蟹、海老など
アスタキサンチンの一日の所要量は6mg程度と言われています。加熱にも強いため、食品から摂取する際の効率は悪くないのですが、この量を食品から摂るとなるとサーモン2~3切、いくらでは丼一杯程度必要になります。
さらに、効果を実感するには倍位の量(12mg)必要になってくるのですが、さすがにそれだけの量を毎日食べるのは難しいですし、ビタミンAやプリン体などの過剰摂取のリスクが高まります。現実的にはサプリメントから摂取する方が良さそうですね。
アスタキサンチンについて詳しく解説した記事はこちら→【眼精疲労や疲れ目の回復に】アスタキサンチンの効果に大注目!
ルテインとゼアキサンチン
ルテイン
ルテインも、アスタキサンチンと同じくカロテノイドの仲間です。目においては水晶体や網膜に分布しています。
このルテインの特徴は、何と言っても強い抗酸化作用です。目に有害な紫外線やブルーライトといった波長の短い光は眼の表面で吸収されにくく、眼底にある黄斑部へ活性酸素を発生させます。
ルテインの持つ抗酸化作用には、この活性酸素の働きを抑える効果があり、活性酸素によって起こる目の疲れや老化を和らげてくれます。
同じく、活性酸素によって目の細胞が攻撃される事で起こる加齢性黄斑変性症の予防にも役立つので、このルテインは、目にとってすごく重要な成分なんです。
ルテインの成人の一日の所要量は6mg程度とされています。
ルテインが多く含まれる食材
ケール、ほうれん草、パセリがダントツの含有量を誇っています。ケールは入手しにくい上に苦味が強く、パセリはまとまった量を食べるのが難しいため、食事として毎日摂取するには不向きかと思います。
ほうれん草には100gあたり約10mg含まれており、手軽に入手できる上に美味しいですから、食事として摂取するならコレが一番よいでしょう。
脂溶性のため、油を使って調理することで吸収効率がアップします。
ゼアキサンチン
ゼアキサンチンもカロテノイド色素の一種で、ルテインと同じような働きをします。
ゼアキサンチンは、ルテインが代謝により体内で変化して作られる構造異性体で、体内で必要な量がゼアキサンチンへと作り変えられます。
ゼアキサンチンは、目の中においては網膜の中心部である黄斑部に存在し、目に有害な光を吸収するフィルターの役割も果たしており、紫外線やブルーライトによるダメージで視力が低下することを抑える為には摂っておきたい成分です。
代謝によって身体の中で変化するので、一見するとルテインだけ摂っていれば良いように思いますが、ルテインとゼアキサンチンでは体内で作用する場所が微妙に違う上に、代謝でゼアキサンチンに変換されるのは僅かな量です。
ゼアキサンチンも同時に摂取することで相乗して効果が高まりますので、サプリメントを選ぶ際には、このゼアキサンチンが含まれている物を選ぶと良いでしょう。
ゼアキサンチンの、成人の一日の所要量は6mg程度とされています。
ゼアキサンチンが多く含まれる食材
クコの実(ゴジベリー)、パプリカ、とうもろこし、ほうれん草、卵など
ゼアキサンチンの含有量はクコの実がダントツですが、一日の所要量目安である6mgを摂取するには、乾燥クコの実だと200粒も食べなくてはならない計算になります…
これは明らかに食べ過ぎで(※クコの実の一日の推奨量10~20粒)、弊害の方が大きくなります。
その他の食品では、さらに大量に食べなくてはならないため、現実的に食品から摂るのは難しいと言わざるを得ず、サプリメントを活用する方が良いでしょう。
※ルテイン・ゼアキサンチンについて詳しくはこちらの記事で解説しています→【眼精疲労やスマホ老眼など目の病気予防に】ルテインの効果に注目!
アントシアニン
アントシアニンはポリフェノールの一種で、フラボノイド系の色素です。
以前から目に良い成分の代表として扱われてきたので、きっとご存知の方も多いことでしょう。
網膜には“ロドプシン”というタンパク質があり、目が見た情報を脳に伝達するのに使われています。この合成が遅れると、脳に伝達するスピードが低下してしまうので、視界がぼやけたり、目に疲れを感じるようになります。
このロドプシンの再合成を促す役割があるのがアントシアニンです。
アントシアニンは網膜の機能を強化し、また、強い抗酸化作用によって疲労抑制と活性酸素除去に役立つと考えられています。
アントシアニンの一日の所要量は30~60mg程度です。
アントシアニンが多く含まれる食材
ブルーベリー、ビルベリー、アサイーベリー、クランベリー、カシス、ナス、黒豆、紫芋など
アントシアニンは紫色の果物や野菜に多く含まれています。アントシアニンの代表選手としては、何と言ってもブルーベリーというイメージを持った方も多いと思いますが、単純な含有量で言うと、アサイー、クランベリー、カシスの方が上で、それぞれブルーベリーの3~4倍のアントシアニンを含んでいます。
※アントシアニンについて詳しくはこちらの記事で解説しています→【アントシアニンに注目!】疲れ目回復や視覚機能向上、美容効果も?
タンパク質
タンパク質は、目の調節機能を司る毛様体筋や水晶体の主成分です。不足すると目の老化を早めてしまうことになります。
タンパク質の成人の一日の所要量は、男性で70g、女性で60g程度です。
タンパク質が多く含まれる食材
肉類、魚、卵(卵白)、チーズ、牛乳、大豆、豆腐等の大豆製品
タンパク質は、様々な食品に含まれますが、どれか一種類だけでなく、数種類を組み合わせて摂取したほうが効果は高くなります。
セレン
セレンは、目の組織老化を予防するためにとても強い抗酸化作用を持った必須ミネラルです。
その抗酸化作用は、同じく抗酸化力の高いビタミンEの数十倍もあり、目のアンチエイジングには欠かせないほか、目の周囲の血液循環に役立っています。
セレンは、非常に高い抗酸化作用を持っている反面、毒性も強く、過剰摂取には注意が必要です。
セレンの成人の一日の所要量は30μg程度で、様々な食材に含まれているため、通常欠乏することは少ないようです。
セレンが多く含まれる食材
かつお節、あん肝、たらこ、マグロ、サバ、蟹、牡蠣、卵黄、小麦粉など
セレンは摂取量が800μgを超えると過剰症を引き起こす可能性があるので、サプリメント等の利用には注意が必要です。
☑まとめ
眼精疲労や目の機能維持に必要とされる栄養素を解説してきました。
本文中でも説明していましたが、ビタミンには水溶性と脂溶性があり、それぞれ効率の良い摂取方法や食材の組み合わせがあります。
脂溶性ビタミンや、セレンの摂り過ぎは過剰症を引き起こすおそれがあるので、摂取量には注意が必要です。
それぞれの特性を知って、適切な摂り方を工夫する事は大切ですが、どうしても食事だけでは十分に摂取出来ない場合は、サプリメントなどで補うようにすると良いでしょう。
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