疲れ目お悩み研究室

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【アントシアニンに注目!】疲れ目回復や視覚機能向上、美容効果も?

アントシアニン(Anthocyanin)とは

天然の色素成分であるポリフェノールの仲間である“フラボノイド”の一種で、青や紫色の色素です。高い抗酸化作用を持ち、目に良い成分として注目されています。

 

アントシアニンは古くから注目されていた

アントシアニンは、目に良い成分として古くから研究がされている成分です。

そもそも、アントシアニンの視力回復効果について研究が始められたのには、あるエピソードがあります。

第二次世界大戦中、イギリス空軍に極めて生還率が高い優秀なパイロットがいました。このパイロットは、日頃からブルーベリージャムをよく食べていて、夕暮れ時など薄暗くなってからも目がよく見えたという話から、「ブルーベリーに含まれる成分に秘密があるのでは?」と、研究がされるようになったそうです。

そのブルーベリーに含まれていた成分がアントシアニンです。アントシアニンには一体どのような秘密があったのでしょうか?

アントシアニンとはどんなもの?

冒頭でも触れたとおり、アントシアニンは天然色素であるポリフェノールの仲間である“フラボノイド”の一種で、青や紫の色素です。この色素は、植物が紫外線から身を守るために作られるファイトケミカルというもので、紫外線を受けると体を黒くする事で紫外線の透過を抑え、体内(果実)を守るものです。私達ヒトでいうと、日焼けのメカニズムであるメラニン生成の役割と似ています。

アントシアニンは色素ですので、古くから天然の着色料としても利用されてきました。例えば、梅干しの鮮やかな赤色は赤シソに含まれるアントシアニンによるものです。

500種類以上が存在するアントシアニン

一口にアントシアニンと言っても、作用の仕方や効果・効能等に微妙な違いがあるので細かく分類されています。現在は500種類以上のアントシアニンが確認されていて、食品によって含まれるアントシアニンの種類や量が違います。

アントシアニンの持つ力とは?

アントシアニンには、長い研究の歴史によって、様々な機能があることが分かっています。その、代表的なものを紹介していきましょう。

アントシアニンはロドプシンの再合成を促す

目の奥にある網膜には、桿体細胞(かんたいさいぼう)という光に反応する細胞があります。この桿体細胞の中には、ロドプシンというタンパク質があります。

ロドプシンは分解をすることで見た物の光情報を視神経に伝える役割を持っていて、分解されたロドプシンは、再び合成を繰り返して次の情報伝達に備えます。

ところが、目を酷使したり、歳をとるにつれてロドプシンの再合成能力は衰えてくるため、このロドプシンの再合成が追いつかなくなり、目がぼやけるなど視力の低下を引き起こすとされています。

アントシアニンは、このロドプシンの再合成を促す働きがあり、目の健康維持のために、様々な角度から貢献してくれます。

アントシアニンには強い抗酸化作用がある

アントシアニンをはじめ、ポリフェノールには強い抗酸化作用(活性酸素に対抗する力のこと)があります。

活性酸素とは、摂取した栄養と酸素の一部が結びついて変化して発生します。通常は、病原菌の侵入を防いだりするために働いてくれているのですが、過剰に生成されると体内の細胞を攻撃しだすという厄介な特徴があります。

アントシアニンは、優れた抗酸化力を持つビタミンCの約5倍にもなる抗酸化力を持っていて、活性酸素の過剰生成を抑制し、また、発生してしまった活性酸素の攻撃から細胞を守るために働いてくれるんですね。

アントシアニンは血液の流れを良くする

アントシアニンは血液をサラサラにして、血流を促進する効果があります。また、末梢血管を拡張する作用があり、身体の隅々まで血液を運ぶのを手助けしてくれます。

血液は細胞に必要な栄養や酸素を届け、代わりに老廃物を回収して全身を巡っています。そのため、血流が悪くなることは、様々な病気をもたらす原因になるんです。血の巡りを良くする働きは、すごく大切なことなんですね。

    • さて、ご紹介したアントシアニンの持つ作用によって、一体どのような効果や効能が期待できるのでしょうか?それを詳しく解説していきたいと思います。

アントシアニンの目への効果

アントシアニンは、見る機能を高め、眼病を予防する効果が期待されています。

それにも、アントシアニンの持つ抗酸化作用と、ロドプシンの再合成促進作用が関係してきます。

アントシアニンは「視る」機能を高め、視力回復に貢献!

アントシアニンといえば「目に良い成分」として、その視覚機能向上効果について様々な研究がされてきました。

戦時中のイギリス空軍パイロットの逸話のように、暗い場所でのものが見えやすくなる理由に、アントシアニンの持つロドプシンの再合成促進作用が関係していて、特に大量のロドプシンを必要とする暗順応(明るいところから暗いところに入った時に目が慣れること)を高める効果があるとされています。

また、抗酸化作用により、目の奥にある網膜視界のぼやけや、かすみ目の改善に効果があり、視界をクリアに保ちます。

数多くの種類があるアントシアニンには、その種類によって特性も違うのですが、カシスに含まれているカシスアントシアニンには、眼軸長の変化を有意に抑制するとの実験結果もあり、軸性近視を予防する効果も期待されています。 

眼精疲労や目の疲れの回復


眼精疲労になるメカニズムにも、活性酸素や視る力が関係してきます。

視力が不十分だと、ピント調節のための筋肉である毛様体筋に余計な負担がかかってしまうため、疲れが蓄積して、眼精疲労になりやすい状態になります。

アントシアニンには、ものを視る負担を減らしてくれます。そして、アントシアニンは網膜の血流を促進する効果もあるので、毛様体筋の緊張を和らげる働きがあります。

また、パソコンやスマートフォンなどのモニターから発せられるブルーライトは、目の奥にある網膜に大量の活性酸素を発生させ、網膜の細胞にダメージを与えます。

アントシアニンは、その強力な抗酸化作用によって活性酸素を抑えてくれるので、パソコンやスマホで酷使する事による視力低下を抑える働きを持っています。

目の病気の予防効果

アントシアニンは、白内障や緑内障、糖尿病網膜症など、目の様々な病気が起こるリスクを低減します。

・白内障の予防

白内障は、目のレンズ部分である水晶体が白く濁ってくる病気です。老化によりたんぱく質でできている水晶体が紫外線などのダメージで変性しやすくなることによって起こるのですが、この紫外線によって発生する白内障の原因が活性酸素です。

アントシアニンは、強力な抗酸化力により、水晶体を紫外線によって発生する活性酸素によるダメージから守ってくれます。

・緑内障の予防

緑内障は視界が狭くなる病気です。視界が歪んだり、視界の真ん中だけ繰り抜いたように見え、周囲が暗く見えるのが特徴で、中途失明の原因の第一位になっています。

この緑内障になるメカニズムは、まだ完全に解明されていないのですが、やはり喫煙や紫外線、ストレスによって発生する活性酸素や、眼圧が高くなる事で視神経が圧迫されるなど、様々な要因によって起こるとされています。

アントシアニンは、抗酸化作用によって活性酸素から守ることと、眼圧上昇を抑制する効果から、緑内障のリスクを軽減することに期待がされています。

アントシアニンは目以外にも様々な効果が…

美容・美肌効果

アントシアニンは、非常に抗酸化作用の高い成分です。この抗酸化作用には、お肌への紫外線の攻撃や、ストレスによって発生する活性酸素を抑え、アンチエイジング効果が期待できるんです。

アントシアニン自体が、元々は自らの実を紫外線から守るために作られたものなので、私達の身体においても、同じように紫外線からガードしてくれるわけですね。

そしてうれしい事に、アントシアニンには他にも美容に関係してくる働きがあります。コラーゲンを安定させる機能や、抗炎症効果によってニキビを防ぐという効果も!これにより、女性にとっては嬉しい美肌効果が期待できるわけですね。

肥満を防ぎ、生活習慣病の予防に

アントシアニンには、脂肪の合成を防ぐ働きがあります。これにより、血液中の脂肪を減らし、内臓脂肪の蓄積を防ぎます。他にも、血液の流れをサラサラにし、血糖値を下げ、血圧上昇を抑える効果など、生活習慣病を防ぐ上で大切な機能がたくさん詰まっているんです。

このような生活習慣病の中でも、糖尿病は糖尿病網膜症による失明の危険性(失明原因第二位※厚労省調べ)があります。

メタボリックシンドロームを防ぐ事は、様々な生活習慣病のリスクを下げるだけでなく、目の健康維持にとっても大切な事なんです。

このアントシアニンの肥満防止効果は、わかさ生活みらい研究所が2007年の日本食品化学工学会で、マウスによる試験結果を発表しています。

花粉症に対しての効果


アントシアニンには、ヒスタミンを抑制する働きがあります。 

ヒスタミンとは、花粉症の原因であるアレルギー反応に関与している物質で、体内に入ってきた花粉を有害なものとみなし、くしゃみ・鼻水・涙などを出して体外へ排出しようとするために中枢神経に働きかけています。

わかさ生活みらい研究所が2006年に日本食品化学工学会で発表したマウスによる実験報告によると、アントシアニン入りのエサを与えたマウスは、通常のエサを与えたマウスに比べ、ヒスタミンの分泌量が60%減少したという試験結果が出ています。

アントシアニンは、花粉症の原因になるヒスタミンを抑えてくれる効果があるんですね。

冷え性や肩こり改善

アントシアニンには、血流を促進し、末梢血管の拡張作用があることから、冷え性肩コリを改善につながります。

また、強い抗炎症作用もあり、消炎鎮痛剤であるアスピリンと比較しても、10倍もの抗炎症作用があるとされています。

アントシアニンが含まれる食べ物を紹介!

アントシアニンは青や紫色の色素ですので、含まれる食べ物は見た目にもそれが現れています。

特に特筆すべき食べ物は、ブルーベリーなどに代表されるベリー類です。ブルーベリーといえば、目にいい食べ物の代表のように語られることも多いですよね。

たしかに、ブルーベリーはアントシアニンが豊富に含まれている食品ではありますが、実は、ブルーベリーより遥かにアントシアニンの多い食べ物は沢山あるんです。

それには、どんな食べ物があるのでしょうか?

ビルベリー

アントシアニンを豊富に含む食べ物として特筆すべきは、このビルベリーです。

ブルーベリーは100gあたり200~300mgのアントシアニンを含んでいますが、このビルベリーの果実には、ブルーベリーの約3倍以上にもなる1000mgのアントシアニンが含まれています。
しかも、そのアントシアニンの種類は15種類にもなる超優秀な果物なんです。 

なかでも、北欧産のビルベリーのアントシアニン含有量には目を見張るものがあります。

北欧では一日中日が沈まない白夜(びゃくや)があります。白夜によって常に陽の光を浴び続けて育ったビルベリーは、紫外線から実を守るために、実の中まで濃い紫色に染まる程にたっぷりとアントシアニンを含んでいます。

アントシアニンたっぷりのビルベリーは、ヨーロッパでは医薬品として扱われているほど、その効果は実証済みのスーパーフルーツなんです。

このビルベリーとブルーベリー、実は元々は同じものです。ビルベリーはブルーベリーの原種にあたり、野山に自生している野生種のことをビルベリーと言います。

しかし、苦くて生食には向いていないため、美味しくなるよう品種改良され、栽培されるようになったものがブルーベリーです。

マキベリー

マキベリーは、チリ南部の寒冷地パタゴニアにしか自生していないホルトノキ科のマキという植物に実る、直径が6mm程の小さな果実のことです。

このマキベリーに含まれるアントシアニンの量たるや、ブルーベリーの10倍以上という圧倒的な含有量を誇っています。

近年急激に注目度が高まってきたスーパーフードです。

ですが、しかし、マキベリーは南米の野生種であるため、日本では生食は叶いません。サプリや乾燥果実として摂ることになります。

アサイー

 

アサイーは、南米のアマゾンに自生しているヤシ科の果物で、大きさや形がブルーベリーにもよく似ていることから「アサイーベリー」という名前でも知られています。

アマゾンの強烈な陽の光を浴びて育ったアサイーには、ブルーベリーの約5倍のアントシアニンが含まれていて、他にも、カルシウム・食物繊維・鉄分・ビタミンCなども豊富な、奇跡の果実として注目されています。

ブラジルでは近年栽培もされるようになり、冷凍果実や、ジュースなど加工された食品も少しずつ日本でも流通するようになってきました。

カシス(クロスグリ)

カシスは、食品としてよりも、リキュール類などの飲み物としてよく知られている果物で、日本国内でも栽培流通しています。

このカシスにも豊富なアントシアニンが含まれてはいますが、ブルーベリーと比較すると、その含有量自体には大きな差はありません。

しかし、含まれているアントシアニンの種類に違いがあり、機能性に関してはカシスの方がよいようです。

また、ビタミンやミネラルも豊富なため、イメージ先行で流通している感のあるブルーベリーより、もっと普及してもいい果物だと思います。

ナツハゼ

ナツハゼは、野山歩きをする人など、知る人ぞ知る植物です。このナツハゼは、ビルベリーよりも多くのアントシアニンを含んでいるのですが、基本的に野生種のために生産している農家が少なく、あまり流通していないのが難点です。

ナツハゼは生食でもいけますが、わずかながらジャムやリキュール漬けとして販売されているようです。

アントシアニンは、他にもこんな食べ物に含まれています

紫芋、黒大豆、ナス、シソ、紫キャベツ、紫たまねぎ、ぶどう、黒ゴマ、いちご、など

アントシアニンの必要摂取量と、効率のよい摂り方とは

アントシアニンの一日の摂取目安量は40mg以上とされています。中には、100mg以上摂ったほうが良いという情報も目にします。特に大きな副作用が出る成分ではないので、ここは多めに摂っておけるといいですね。

体内に吸収されると、24時間以内に尿と一緒に排出されてしまう上に、水溶性で長時間の加熱調理や長期間の保存に弱いのが難点です。比較的入手しやすいブルーベリーから必要量を摂ろうとすると、生の果実で60~300g乾燥12~25gも必要になるため、継続的に毎日食品から摂るのは、現実的になかなか難しいところです…

アントシアニンの特に含まれるベリー類には、乾燥果実や粉末、ジュース、サプリメントなどに加工されたものが数多く販売されていますので、これらを上手く利用することで毎日継続しやすくなるかと思います。

また、アントシアニンは他の成分と組み合わせる事で更なる効果を発揮します。ルテイン、ヒアルロン酸などがその代表的な成分ですので、サプリメントからの摂取する場合、これらの成分が一緒に含まれているかどうかも選ぶポイントになってきますね。
 

まとめ

・アントシアニンはポリフェノールの仲間で青や紫の色素である
・アントシアニンには高い抗酸化作用がある
・アントシアニンは血流の流れを良くする
・アントシアニンは視覚機能を高め、様々な眼病予防に貢献している
・アントシアニンは、肥満防止や美肌効果など、美容と健康に役立つ
・アントシアニンの体内での効果は24時間。そのため毎日の継続摂取には、サプリなどの加工品のほうがよい

こちらの記事では、アントシアニンについて詳しく解説してきました。なんとなく「目に良い」ということは聞いたことがあったかと思いますが、それ以外に、目の病気の予防や、身体の健康のために多角的に活躍してくれる成分です。私は、美容効果に食いついちゃいましたケド…(笑)

そして、目の健康のために良い成分として、近年ではアスタキサンチンルテインなども注目されて盛んに研究されています。サプリメントから摂取を考えている方は、これらの成分が含まれている物を選ぶのもポイントになると思います。

アスタキサンチンやルテインは、別の記事で個別に詳しく解説していますので、そちらも是非読んでみてくださいね。