【不快な瞼の腫れ】ものもらい(めばちこ)の原因・症状・対処法を解説
ある朝起きたら、瞼がまるで四谷怪談のお岩さんのように…あるいは試合後のボクサーのように、ボコっと腫れ上がっていたことはありませんか?
まぶたが腫れてしまう病気「ものもらい」です。
ものもらいについて
目のゴロゴロ感を伴い、辛い痒みや痛みが出たりと、そういった症状も辛いですが、何より瞼(まぶた)が腫れてしまって見た目が…外出したくなくなりますよね、ものもらい…
大事な用事のある日や、デートの日になんかにできようものなら…泣きたくなります(T_T)
“ものもらい”?“めばちこ”?あなたは何て呼ぶ?
“ものもらい”という呼び名が全国的には主流ですが、地方によって様々な呼び名があります。
関西ではめばちこ、北海道ではめっぱ、他にも地域ごとにとても多くの呼び名があるんです。
ものもらいの様々な地方名
- めっぱ、めんちょ(北海道)
- ばか(岩手、宮城、秋田)
- ばが(宮城
- よのめ(青森)
- のめ(岩手)
- ほいど(秋田)
- ほいどっこ(秋田)
- のめ、のんめ(福島)
- めっぱつ、めっぱち(新潟)
- めかいご(群馬)
- めっぱ(群馬)
- めけご(栃木)
- めこじき(山梨、長野、岐阜)
- めこんじき(静岡)
- めんぼ(愛知、岐阜、三重)
- めもらい(石川、富山、福井、長崎、大分)
- めぼろ(富山)
- めいぼ(滋賀、京都、山口、徳島、愛媛、福岡、宮崎)
- めぼ(三重、岡山、香川)
- めばちこ(奈良、京都、大阪、和歌山、兵庫、岡山)
- めぼいた(鳥取)
- めぼいと、めまんじゃ(島根)
- めぼう(高知)
- おきゃくさん(佐賀)
- おひめさん(熊本)
多いのはやはり“ものもらい”という呼び名。続いて、“めばちこ”“めいぼ”がメジャーな呼び名です。
ものもらいには種類がある
様々な呼ばれ方をするものもらいですが、正式な病名としては二種類のものに分かれます。麦粒腫と霰粒腫です。
どちらも、瞼が腫れることが共通しているので、ものもらいと一纏めに呼ばれますが、その原因と症状には違いが有り、治療法も変わってきます。
霰粒腫と麦粒腫の違い
■霰粒腫(さんりゅうしゅ)※散粒腫とも言われます
原因:マイボーム腺が詰まり脂が溜まったもの
症状:瞼のしこりや異物感、細菌が感染すると腫れや痛みが出ることも
■麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
原因:毛根や汗腺、マイボーム腺の細菌感染によっておこる
症状:痒み、痛み、腫れを伴う
霰粒腫
霰粒腫は、マイボーム腺の目詰りによって、油(脂肪分)が溜まり腫れたりしこりになったもの(慢性肉芽種性炎症)です。
霰粒腫の特徴と症状
霰粒腫は脂が詰まって溜まった物のため、白っぽい色をしているのが特徴です。
大きくコブのようにしこりができることも有れば、ニキビと同じように白いブツブツができたりすることがあります。
自覚症状としてあまり痛みは出ませんが、霰粒腫が大きくなると周りを圧迫して異物感や痛みを感じる事があります。
また、霰粒腫に細菌が入って炎症性の物になったりした時は痛みを伴います。
霰粒腫の原因
瞼のまつげの生え際にマイボーム腺という器官があります。
このマイボーム腺は、目の水分(涙)の蒸発を防ぐために油分を出している器官なのですが、この出口が目詰まりを起こしてしまうことがあります。
これにより、脂が溜まってしまうことによりおこりますが、マイボーム腺が詰まる原因としては、マイボーム腺液(マイバム)の質や、分泌の過不足、ストレスなどによる自律神経の乱れなど、様々です。
女性の場合、アイメイクにより目詰りを引き起こしてしまうことがよくあるので、マイボーム腺を塞ぐような形でアイラインを塗ったり、マスカラをつけ過ぎないように気をつけましょう。
霰粒腫の対処法
霰粒腫の対処法としては目を温めて脂を溶かし詰まりを解消してあげることです。
中の膿は自然に体内に再吸収されていきますが、あまり化膿が進んでしこりが大きくなると、手術により切開して膿を排出した方が治りが早かったり、自然に破裂して膿が出てしまうこともあります。
その場合は、膿を残さないようにして、ものもらい用の抗菌点眼薬を点して菌に感染しないようにしましょう。
麦粒腫
麦粒腫の方は、マイボーム腺や、汗腺、毛根などに細菌が入り込み感染し、化膿して炎症を起こしてしまう症状です。そのため赤く腫れるのが特徴です。
麦粒腫の特徴と症状
麦粒腫は、涙の脂分を出すマイボーム腺や、ツァイス腺、汗を出す汗腺であるモル腺などに細菌が入り込んで炎症を起こしたものです。そのため赤く腫れるのが特徴で、痛みや痒みを伴います。
まぶたの腫れとともに、眼球にも充血が見られたり、目やにが出たりすることも有ります。
内麦粒腫と外麦粒腫
ちなみに、炎症を起こしたのが内側にあるマイボーム腺の場合は内麦粒腫といい、外側にあるツァイス腺やモル腺の場合は外麦粒腫と言われます。
麦粒腫の原因
この麦粒腫の原因となる細菌ですが、大半は黄色ブドウ球菌によるものです。
黄色ブドウ球菌は、皮膚や体内に普通に存在している菌(常在菌)です。
健常時は免疫作用により炎症になることはありませんが、何らかの原因で免疫力が低下した時に菌の暴走を抑えることができなくなり発症してしまいます。
免疫力の低下には様々な原因があるのですが、加齢や、食生活の乱れ、ストレスなども影響し、自律神経のバランスとも密接な関係にあります。
免疫力が下がっていると、当然身体の他の器官の機能も弱っていると考えられるので、麦粒腫ができるということは、生活習慣の見直しや体のケアを求められているサインだとも言えます。
麦粒腫の対処法
霰粒腫と違い細菌感染による炎症なので、殺菌作用のある目薬を使い、患部は冷やすほうがいいでしょう。
抗菌点眼薬以外に、ステロイド剤や抗菌眼軟膏を使ったり、抗生物質を服用しての殺菌が主な治療になります。
霰粒腫と同じく、腫れが大きくなった場合は切開による膿の排出が必要になります。
ものもらいは感染る?
「物貰い」という名前から、伝染りやすいように思えますが、通常の生活において感染する事はまずありません。
ものもらいで病院にかかると眼帯を処方されるのは、伝染を防ぐためではなく、痒みにより無意識に掻いてしまう事を防ぐためです。
掻いてしまうと、雑菌により炎症が悪化したり、角膜に傷が入ってしまうという更なるトラブルを引き起こすリスクが高まります。
まとめ
見た目も悪く、不快なものもらいについて解説してまいりました。
ものもらいは繰り返すことがあるのですが、特に麦粒腫は免疫力の低下によって細菌対する抵抗力が落ちている状態で感染しやすくなりますので、免疫力を高めるための栄養を十分に摂ったり、自律神経を乱す大きな原因となるストレスを溜めないようにしましょう。
また、霰粒腫の方も、マイボーム腺の脂の粘度など、体質によって出来やすくなったりしますので、繰り返すようであれば体質を改善するように努めたほうが良いと思います。
ものもらいには市販の薬も出ていますが、霰粒腫か麦粒腫か判断もしづらいと思いますので、ものもらいが出来てしまったら、先ずはとにかく眼科を受診することをおすすめします。