【目の疲れは自律神経の乱れから】眼精疲労と自律神経失調症の関係
「すぐに目が疲れる上に、体はダルいのに寝付きが悪くって…最近なんだか情緒不安定だし、手足は冷え性だし、頭痛薬が手放せないの…」
ちょっと待って!それ、ただの眼精疲労だと思っていませんか?
もしかしたら、自律神経の乱れからくる、自律神経失調症の症状かもしれません。
こちらの記事では、眼精疲労やドライアイと自律神経のつながりを解説していきたいと思います。
自律神経とは
私達の体の動きを支配している神経は、大きく分類すると中枢神経(ちゅうすうしんけい)と末梢神経(まっしょうしんけい)の2つに分かけられます。
そのうち、中枢神経は脳などのことで、末梢神経は「運動神経」「知覚神経」「自律神経」に分けられます。
自律神経は、私たちが無意識のうちに体の各器官(呼吸器、消化器、循環器など)の活動を調節してくれている神経です。
例えば、心臓は常に動いていて、止めようと思っても止められないし、暑くても汗をかくことを我慢することはできませんよね。
このように、自分の意志とは関係なく、体の機能を正常な状態に保つために絶えず働いてくれているのが自律神経です。
交感神経と副交感神経
自律神経は、交感神経と副交感神経からなっています。どちらも体の機能を調節するためにあるのですが、それぞれ役割が違うんです。
この二つの神経の役割を簡単に説明してみます。
■交感神経は、元気よく活動したり、ストレスを受けた時に作用する『活動する神経』です。
■副交換神経は、睡眠やリラックスなど、回復するときに作用する『休息する神経』です。
この2つの神経は、互いにシーソーのような関係で作用しています。
交感神経が優位になると副交感神経は休み、副交感神経が優位になると交感神経はお休みするというように、必要に応じて切り替わることで体のリズムを作ってくれているんです。
たとえば、朝起きて夜寝るといったライフサイクルは自律神経がつかさどっていて、朝目が覚めると日中は交感神経が活発になり、日が暮れてくると副交感神経が優位に働くようになって自然に睡眠へと導くようにできています。
自律神経の役割
自律神経には身体を内外の環境の変化から守るために様々な役割があります。
■体温調節
熱い時に汗を出して冷やしたり、寒い時には毛穴を引き締めて熱が逃げないようにしたり、という外環境の変化に対応したり、また、ウイルスなどが侵入した際に発熱して殺菌するための免疫機能など、体温を調節する役割が有ります。
■精神の調整
悲しみ、怒り、驚き、興奮、緊張、恐れ、安らぎ、抑うつ、など、様々な感情を司ります。
なので、自律神経失調症になると、これらの制御が上手く出来なくなってしまうために、情緒不安定と言われる状態に陥るんですね。
■内分泌の調整
ホルモンなどの内分泌にも関わっています。ホルモンバランスが変わりやすい女性は大変なんです。
自律神経と目の機能の関係
自律神経は、瞳孔の動きや涙を出す機能など、眼という器官に直接影響しています。
瞳孔の制御
自律神経は瞳孔の動きを調節することにも関わっています。
・交感神経は頸髄や胸髄に働きかけ、瞳孔を散大(ひらく)させ、眼球を突出させます。
・副交感神経は中脳と延髄に働きかけ、瞳孔を収縮(とじる)させ、眼球を陥没させます。
涙の制御
涙を出す作用は副交感神経に支配されています。なので、交感神経優位になると涙を出す作用が弱まる為、必然的に目は乾きやすくなります。
涙は目を潤すためだけではありません。視界をクリアに保ち、目に必要な栄養や酸素を運び、外界にさらされている角膜を保護したり、ゴミを洗い流したりと、いくつもの役割を持ったとても大切なものなんです。
この涙の分泌が減ると、ドライアイをはじめ様々なトラブルの元となってしまいます…
自律神経を乱す原因
ストレス
自律神経を乱す原因は、人の性格や環境にもよるのですが、特に多くの人にとって大きな原因になっているのがストレスです。
自然界においては、生きる上での最大のストレスは外敵からの攻撃ですね。小動物などは、身を守るために、“外敵からの攻撃”というストレスを受けると交感神経が優位に働きます。
交感神経を優位に転換させることで、身体は戦いに備えて臨戦態勢をとるのです。エネルギーを捕食者の攻撃から逃げるために集中させないと、食べられてしまいますからね…
この時、交感神経とシーソーの関係にある副交感神経が支配する機能は一旦お休みの状態になります。
人間界においては、食べられるような危険にさらされる事態ってまず無いと思いますが、これは精神的なストレスにおいても同じことです。
精神的ストレスがかかった時も、身体的ストレスと同様に交感神経が優位に働きます。その結果、身体の筋肉は緊張状態が続くことになり、身体には大きな負担がかかってしまいます。
ストレスを感じやすい性格などもあると思いますが、ストレスに対する『穏やかでいられる心の持ち方』や、回避するための『人との付き合い方』を見直すことが大事だと思います。
昼夜逆転の生活
人の身体は、昼間は活動のために交感神経が働き、夜は休息のために副交感神経が働くように自律神経のサイクルが自然と成り立っています。
夜起きて、昼間寝るような生活をすると、このサイクルに逆らうことになるため、活動においても休息においても本来の力を発揮できる状態とは言えません。
充実した休息を取れなければ、体力的にもパフォーマンスは低下しますので、やはり夜型生活が続くのは、あまり好ましくないことですね…
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスも自律神経に影響します。
自律神経失調症は、男性より女性の方がなりやすいと言われていますが、これはなにも女性のほうが精神的に弱いということではなく、月経をはじめホルモンバランスが変化しやすい為でもあるんです。
自律神経失調症と目の疲れの関係(眼精疲労とドライアイへの影響)
自律神経のバランスが乱れていて、身体の機能に様々な変調をきたしている状態を自律神経失調症と言いますが、この自律神経失調症の症状から眼精疲労やドライアイを引き起こしていたり、同時多発的に症状が起こったりしているケースがあります。
自律神経失調症の症状のうち、眼精疲労やドライアイに特に密接して関連しているものを取り上げてみます。
不眠
自律神経失調症の代表的な症状に、睡眠障害があります。
これは、寝ようと思っても交感神経が過度に働き続けるために寝付けず、睡眠不足を引き起こすものです。
睡眠は、体の休息にとって大切なことですが、目においてもそれは同じです。
一日中、絶えずピント調節を繰り返してきた眼の筋肉の疲れや、太陽の紫外線やパソコンのブルーライトなどによって受けた網膜のダメージを修復する作業は、主に寝ている間に行われています。
睡眠不足は、目のダメージを回復させる時間を十分にとることが出来ずに疲労を蓄積させることになり、その溜まった疲労は慢性化して、徐々に眼精疲労へと発展していきます。
肩こりや頭痛
自律神経が眼精疲労に影響する理由は他にもあります。
交感神経優位になると、活動のために筋肉は身構え、緊張状態が続いていることになります。その緊張は肩や背中、首にコリとなって蓄積します。
(※注1)
首や肩周辺のコリは頭部に行く血の流れを悪くするため、目に行く血流も減少してしまいます。当然、目には栄養と酸素が不足することになり、疲れを取ることができなくなります。(※注2)
頭部への血の巡りが悪くなると、同時に緊張型頭痛や思考力の低下など様々なトラブルの原因となります。
これが、自律神経失調症→肩こり→眼精疲労へとつながるメカニズムです。
※注1.眼精疲労と頭痛の関係はこちらの記事で詳しく解説しています→【眼精疲労で頭痛】なぜ目が疲れると頭が痛くなる?その原因と対処法
※注2.眼精疲労と肩コリの関係性はこちらへ→【眼精疲労でなぜ肩がこる】目の疲れによるコリの原因と治し方を解説
対処法(自律神経の働きを整えるには?)
規則正しい生活で本来の自律神経交換サイクルを
自律神経を整えるには、まず第一に規則正しい健康的な生活リズムを整えることです。
朝、目が覚めたら朝日を浴び、交感神経を活発にさせて元気に仕事に行く。
夜、帰宅したらリラックスするように努め、入浴をして血行を良くし、就寝前は部屋の照明を暗くして、パソコンやテレビ、スマホなどの強い光は見ないようにする。
こうして、就寝に向けて副交感神経優位の状態に転換させていく生活サイクルを作ってあげることで、自然と充実した睡眠をとることが出来るようになります。
ストレスを解消し、一日の疲れをその日の内にしっかりと取る!これは眼精疲労の対策としてだけではなく、心と体の健康な状態を保つ上で、とっても大切なことなんですよね。
半身浴でリラックス
半身浴は、血流を良くするとともに精神的リラックス効果もあり、副交感神経を優位に転換して充実した睡眠をとるためにも、とてもいい方法です。
お湯に浸かるのはみぞおち辺りまでで、38℃前後のぬるめのお湯に20分~30分位ゆったり浸かります。
あまり熱いと逆に交感神経を刺激してしまいます。あまり深く浸かると心臓に負担がかかり、湯量が少なすぎても効果は低くなってしまうのでご注意を。
マッサージ・ストレッチで血流改善
就寝前にマッサージ(ツボ押し)やストレッチを行うのも、心身共にリラックスをする為にいい方法です。
こういった時間を意識して設けることで、交感神経から副交感神経へと切り替わるタイミングを作り、同時に血流改善を図ることで目にもしっかりと栄養や酸素が行き渡るようにして、就寝時の疲労回復効果を高める狙いがあります。
ストレスに打ち勝つための栄養
自律神経失調症の最大の原因はストレスです。ストレスを受けるとビタミンCとB1は大量に消費されます。
ストレスに負けず、自律神経失調症になりにくい身体を作るには、ビタミンCとB1は欠乏しないように摂取することが大切です。
また、消化器官の働きは副交感神経が活発にします。消化と排出の力を強めるには、食物繊維の多いものや、酸っぱいもの、辛いものなどもいいとされています。
さらに、消化器官の機能改善のためには、乳酸菌などの入った発酵食品などを摂るのも良いでしょう。
そして、自律神経のバランスを整えるのに今注目度が高まってきているのがアスタキサンチンやルテインです。
アスタキサンチンは、サケやエビ・カニ等に含まれている赤色のカロテノイド系色素です。
ルテインは、ケールやブロッコリー等に含まれる黄色のカロテノイド系色素です。
アスタキサンチンやルテインは超強力な抗酸化作用を持っている上に、目や脳などの繊細な器官の関所である血液関門を通り抜けることができる数少ない成分です。目や自律神経に直接的に作用して活性酸素を抑える働きを発揮できることから、眼精疲労や自律神経失調症に効果が期待されています。
※アスタキサンチンやルテインがバランス良く配合されている、ファンケルのサプリ「えんきん」を試してみました→【ピント調節をサポート!話題のサプリ“えんきん”をレビュー】実際に飲んでみました♪
まとめ
目の疲れやドライアイは、自律神経失調症の代表的な症状でもあります。
眼精疲労の原因を辿って行くと、この自律神経の乱れから来ている場合もありますし、逆に、眼精疲労による目の不快感や痛みによるストレスで自律神経を更に乱してしまうこともあります。
自律神経と眼精疲労は互いに作用しあっていて、とても密接な関係にあるんですね。
場合によっては、眼科での治療が対処療法になってしまう恐れもあるので、「もしかしたら、自律神経の乱れかも…」と感じたら、ひとまず内科を受診し、異常が見られないようでしたら、心療内科や精神科も紹介してもらいましょう。根本を見つめなおし、しっかり治療することが眼精疲労解決の近道になるかもしれません。
そして、自律神経を整えるように規則正しい生活リズムと、栄養の管理に気を配ることはとても大切です。特に、栄養の不足は些細なことで自律神経を乱しやすくなってしまいます。どうしても、外食や簡素な食事が多くなりがちな現代人の生活には、サプリメントなどでうまく補ってあげることが大切ですね。
この記事が、目の疲れや眼精疲労で悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てましたら嬉しいです。