【眼精疲労はただの目の疲れではない】症状と起こるメカニズムを解説
眼精疲労とは
眼精疲労(がんせいひろう)とは、目の酷使により目のピント調節の役割をしている毛様体筋(もうようたいきん)や、視点を調節する外眼筋などの目の筋肉(眼筋)が疲労してこわばり、慢性的な目の疲れや痛みを伴う様々な症状が出て、すぐには回復できなくなっている状態の事を言います
パソコンなどを使って仕事をしていると、やがて目がショボショボ、ゴロゴロ…、なんだか目の霞みでピントが合わせづらいし、目の奥はズーンと重く、やがて肩は凝るし、頭は痛くなって、酷くなると吐き気までしてくる…こんな症状を経験したことはありませんか?
それって、眼精疲労かもしれませんよ…?
こちらの記事では、眼精疲労の起こるメカニズムと症状について解説していきます。
目にとてもキビシイ現代社会
仕事をするには、もはやパソコンは必須。調べ物をしたり、コミュニケーションツールとしてもスマートフォンは手放せません。
ちょっとした息抜きにスマホやテレビでゲームをしたり、SNSをしたり、自動車などの運転では常に周囲の状況に気を張り巡らさなければなりません…とにかく目は休まる暇もなく働き続けています。
人間の持つ五感のうち、視覚からの情報は8割を占めるとも言われています。おそらく、目は身体の中で心臓の次に働き者の器官であると言っても過言ではないと思います。
そんなに仕事をし続けてくれている器官にもかかわらず、その大切な目のケアをおろそかにしている人多いんじゃないでしょうか…
あなたの眼…このままじゃ過労死してしまうかもしれませんよ?
目の疲れは徐々に進行し、やがて眼精疲労に
目を酷使すると、当然目に疲れを感じるようになります。その疲れは段階を踏んで進行していきます。
軽度な疲れの状態であれば、十分に睡眠をとりしっかり休ませることで回復します。しかし、「たかが目の疲れじゃん?」って軽くみて、そのままの生活を続けてしまうと…徐々にその疲労は蓄積していく事になります。
そして、疲れが溜まってきているのにケアをせずにいると、一日や二日しっかり寝たって位では簡単には疲れが抜けない慢性的な状態へと移行していきます。その状態こそが眼精疲労です。
眼精疲労になってしまうと、そうそう簡単に疲れは抜けてはくれません。
ただでさえ疲れが溜まっている状態で目を開けているだけでも辛いというほど目の機能が弱っているのに、同じような生活でさらに疲労が上乗せされていく事になるので、簡単に疲れが抜けないことなど容易に想像がつくと思います。
“疲れ目”と“眼精疲労”は違う
疲れ目と眼精疲労…同じじゃないの?いえいえ、違うんですよ、これが。。
では、一体どう違うのでしょうか…?
単なる疲れ目は『眼疲労』
単なる目の疲れでしたら、一晩ぐっすり寝れば回復し、翌日まで疲れを持ち越すほどではありません。この段階ではまだ“眼疲労(がんひろう)”と言われる状態です。
この段階では、いわゆるただの疲れ目の状態ですので、早めにしっかりと目を休ませてあげることが大事です。
進行すると『眼精疲労』に
しかし、そのまま目を粗末に扱う生活を続けて行くと、一日や二日熟睡したという位では疲れが抜けなくなってきます。
また、様々な症状まで引き起こしていきます。例えば、目がショボショボしたり、一日の終わりまで良好な視界を保つことが出来ず、夕方になると霞んだり、ピントが合わせづらくなったりします。
そして、目の奥が重く痛んだり、充血やドライアイ等といった症状も出てきます。
このように、眼疲労状態が慢性化して様々な症状を伴い、ちょっとやそっとでは回復しなくなってしまっている状態を眼精疲労というのです。
こうなってしまうと、治すのには相当の時間と根気が必要になってきます。
眼精疲労の症状
さらに、眼精疲労の症状は目だけにとどまりません。肩こりや頭痛に発展したり、酷くなると吐き気を伴ったりもするようになります。
眼精疲労に伴う症状をまとめてみます。
・目がショボショボする
・目のゴロゴロ感
・目がかすむ
・ピントが合いにくい
・視界がぼやける
・視界にある物が二重に見える
・目が乾く(ドライアイ・乾き目)
・目の充血
・目の奥が重い
・目の奥が痛い
・眼球が痛い
・視力低下
・肩こり
・頭痛
・吐き気
・めまい
・倦怠感
・イライラする
・集中力の低下
・胃痛
・不眠
・うつ症状
などなど、眼精疲労の症状は目だけにとどまらず、全身に影響を及ぼします。目以外の症状も結構あるので、意外と思える物もあるのではないでしょうか?
でも、これらは全て眼精疲労から関連してくる症状なんです。
私自身も実際に経験した症状が多いですが、改めてこのように書き出してみると、とても「たかが眼精疲労」だなんて言っていられる状態ではないのがわかりますね。
痛いし…イライラするし…仕事も集中できなくなりますし、せっかくの休日でも何もする気も起きなくなります。
特に仕事においては、視点がぼやけて入力ミスをしたり、不定愁訴で集中出来ず、作業効率が悪くなったり…そんな事が続けば、あなた自身の評価を下げてしまうことにもなります。
当サイトに寄せられた体験談の中にも、会社を退職せざるを得なくなってしまったり、車の運転で事故を起こしてしまったりという経験をされた方もいらっしゃいました。眼精疲労は人生を左右することにもなりかねない恐ろしい病気だと思います。
決して「たかが眼精疲労」と甘く見ず、しっかりとケアをして解決して行きましょう。
眼精疲労が起こるメカニズム
眼精疲労を治すには、まずはしっかりと眼精疲労というもののメカニズムを理解する必要があります。
いったい、眼精疲労はどのようにして起こるのでしょうか?
その原因を探るためには、まず目の構造を見てみましょう。
こちらの図が、目の構造図になります。
よく、目の構造はカメラの構造に例えられます。と言っても、デジタルカメラではなくて、旧来のフィルム式カメラの構造が近いです。
フィルム式カメラの基本原理は、光がレンズを通過して屈折し、フィルムに映像を記録するというものです。
一方、目の構造のうち、カメラのレンズにあたるのが“角膜”と“水晶体”という部分です。角膜は目の黒い部分の事で、いわゆる“黒目”にあたる部分です。
そして、角膜とその後ろにある水晶体はセットになり、レンズ部を構成しています。
瞳孔から入った光は、角膜と水晶体を通り屈折し、硝子体を通って網膜に達します。この網膜が、カメラでいうフィルムの部分にあたります。
そして、網膜に達した光は情報として視神経を伝わり脳に伝達が行くことで、私たちは文字や映像として認識できることになります。
ちなみに、虹彩の役割はカメラで言う絞りの部分にあたります。
ピント調節のために頑張っているのが“毛様体筋”
これらの流れの中で、水晶体は厚みを変えることで光の屈折率を変えてピント調整を行いますが、その水晶体の厚みを変えるための筋肉が毛様体筋です。
近くを見る時には、焦点を手前に合わせる為に水晶体は厚みを増す必要があります。この時、毛様体筋は突っ張って緊張状態にあるため、大きな負荷がかかっています。
特に、パソコン等による視作業を行う際は、近くを見た状態で固定されるため、毛様体筋が緊張状態のまま大きな負荷がかかり続けている事になります。
逆に、遠くを見るときは目の中で焦点を後方に調節するために毛様体筋が弛んで水晶体が薄くなります。この時、毛様体筋への負担は少なくリラックスしています。
遠くの景色を見ると目の疲れや視力向上にいいと言われるのは、このように毛様体筋がリラックスできているためです。
ちなみに、老眼とよく似た症状で20代や30代の人がなる若年性老眼(別名:スマホ老眼)と言われるものがありますが、この若年性老眼も、目の酷使によりピント調節機能が衰え、毛様体筋が固くなってくるためにおこります。※若年性老眼について詳しくは、こちらの記事で解説しています→10代20代で老眼!?スマホの過剰使用による若年性老眼に注意!
眼精疲労で視力が低下するのは、この毛様体筋の疲労によるこわばりが主な原因とされています。
毛様体筋は、ピント調節のために常に過酷な労働を強いられているので、意識してしっかり休ませてあげるようにしましょう。
☑まとめ
眼精疲労の症状と、眼精疲労が起こるメカニズムについて解説してきました。
眼精疲労を治すめには、いかに毛様体筋の負担を軽減させてあげられるかに懸かっていると言えます。
日頃からピント調節機能を労りながら使っていくことがすごく重要なんですね。
上記に挙げた眼精疲労の症状の中にも、意外な物が含まれているかと思いますが、私も眼精疲労で何もする気が起きなくなり、ネガティブな鬱状態にまでなっていたこともありました。
本当に寝てるしかできなくなるんです。こんな日々が続いたら、それこそ人生における大損失です…
目の疲れは体全体の疲れとも言える程、目は全てに通じる重要な器官です。決して軽視せず、しっかりとケアをしていくことが重要になります。
例に上げた症状の中には、実際に眼精疲労に所以せず、他の原因からも出ることのある症状も多いので、不安になったらやはり実際に病院で診察を受けくださいね。